母親からの電話



「もしもし?」
「ああ、あたし。どげしちょーなーかなと思って」
「元気にしちょーよ」
「あげ、スーツ作った?」
「作った作った。お金ありがとう」
「作っただーか心配になって」
「大丈夫だが。引越しおわっちょーの?」
「あげだが、今日なんとか終わって。アンタのバットとかなぁ、アレ、捨てて」
「ああ、ごめんごめん。そのままにしちょったね」
「あたし一人で全部やったけん、大変だったよ」
「それは申し訳ない。クソ(妹)はどげしちょー?」
「あれは田舎に帰らしてな、おばちゃんのところで教習うけちょー」
「わははは!帰らされた?」
「帰った帰った。帰らな免許なんかあいつに取れんが」
「そげだなぁ。荷物とかどげしたの?」
「いや、予定狂って、2人で住むことになったけん」
「マジで?部屋大丈夫なん?」
「いやー・・・なんか友達と住む予定だったじゃない?そしたらなんか向こうの子の親御さんが「働きもしない奴には部屋はやらん」ってことだったらしいのよ。向こうの子は就職決まってなくて」
「邪魔者が増えたってことね」
「そうそう」
「ま、こっちは元気にやってますんで」
「あげだ、今年のGW、墓を建て直すっていっちょーなったけん、アンタ帰りな」
「ええっ!そげなことゆったって俺仕事だがん」
「アンタピザ屋やっちょらんのに仕事なの?」
「あ、そげだった。もうサラリーマンだがん俺。でもめんどくさいし。帰らんで!」
「そげでも帰らんと。アンタ長男だで!」
「姉ちゃんでいいがん」
「そげなもん出せんわ」
「まーいいや。どーせ帰らんけん」
「しょーからいなこの子は。あげ、また電話する」
「おお、さいなら」