年に何回かの、覚醒の瞬間



俺は去年の10月、初の社会人野球公式戦で無様なド三振を喫してから、会社があって金があれば毎日バッティングセンターに行っている事になる。
専門時代毎日野球やって、道行く生徒たちに打球を浴びせ、毎日全力投球で七色の変化球を上中下投織り交ぜて投げている俺を、頭がおかしいんじゃないかと、もうバカを通り越してんじゃないのと皆思っていただろうと思う。
が、感覚ってのは毎日毎日同じことを繰り返して磨き上げるものだ。ものすごくフィーリングが良くなる絶対的な瞬間を、部活動やってる奴なら絶対体感したことがあるはずだし、その感覚を得る瞬間はとても輝かしい。専門時代、剣道でしか味わえないと思っていたその絶対的フィーリングを野球で自分に感じてから3年、あれは維持できるものだと思っていたが、去年のクソ三振で目が覚めた。感覚は維持できない。覚醒の瞬間は、毎日同じことを繰り返すことである日突然やってくるものなのだ。
今日はその瞬間だった。
あ、アウトコース高めだ、このバットスイングならポップフライかな、ガキン、ポップフライ。同じコースに来た、ボール低くしようかな、まぁいいや、センターに流そう、お、いい感じセンター前。インコース低め、流すとファールフライだから引っ張ろう、ホームランボードを超えるジャストミート、よし次、絶好球、思いっきり飛ばすぜ!外人スイング!!見たことの無い打球速度。大満足。
こんな感じ。マジ20球完璧に当てる前に大体どこ飛ぶのかフィーリングでつかんだ。たいてい調子に乗ってもう1ゲームやると、グダグダ波打ちスイングでダメダメになってしまう。今日もそうだ。次にまたあの格別の瞬間はいつ来るのか・・・野球大会でやって来たりしないもんかねぇ。