大パニックの一瞬



今日は店長が隣のエリアの店の店長。実はこの人俺と4つしか歳が離れてない。しかも俺がピザ屋に入隊した際に俺を面接、指導してきた思い出深い人なのだ。一緒にメシを食べに行ったり、2人でカラオケに行ったり、麻雀よくやったりと、違う店のバイトと店長なのに何気に仲がいい。
いつもどおり休憩中帰ってメシを食おうとしたら「坂田、帰らないでよ。一緒にメシ食おうぜ」という寂しがりやの人でもある。うちの店の古株からの信用も厚く、今日は楽しくいい営業になるはずだった。
だが、17時に来る筈だった新人が来ない。なにやら風邪で休みらしい。マジかよ。ただでさえ人が居ない状態なのに。案の定混みだす。平和に終わってくれよ、勘弁して頂戴よ・・・と思いながら走っていて、18時ちょうどくらいになって帰ってきた。突然その時事件は勃発する。俺は近くの家に配達に行ったのだが、どうやらインターホンに気がつかなかったらしく、なかなか出てこない。で、ノックするも出てこないので電話をかけたら・・・あれ?電話が繋がらない。しょうがないから高橋名人のようなインターホンの連射でなんとか出て来たので、ピザを渡して店に帰ってきた。
その時、別のベテランデリバリーが息せききって俺と同じぐらいの時間に帰って来た。何があったんだ?と思ったら、「安○さん、(その店長)ゆうまが事故りました!信号無視の中国人に突っ込まれたらしくて、なんか長野で(情報が錯綜していて新潟じゃなくて長野って言ってた)大きな地震もあったらしくて電話が繋がらないんですよ!すぐ行ってください!」と一気にまくし立てた。
なんてこったい!今日は新人は少ないから精鋭ぞろいとはいえ、人間は少ない。その精鋭を一人欠いた状態で土曜日の忙しいピークを迎えた。当然店長は事故の方に行って処理しなきゃいけないので、一番速くピザを作れる人間と、効率よくピザを持っていく人間が2人とも居ないのである。今日はメイクの方も少ないのでまさにパニックに陥った。
とにかく電話が鳴る!デリバリーはもう行く配達のピザが出来上がっているので電話に出ることが出来ない。メイクも数が少ないから電話に出ている間はピザが作れない。よって異常なまでに時間をもらいながらの地獄の営業と一瞬で、たった一瞬で変化した。
いつもなら注文もらってから30分以内の近くのエリアでも、60分もらっていたのである。時間が経っても、事故のほうがなかなか終わらないらしく、人は相変わらず居ないまま。電話も鳴りっぱなし。俺も帰ってきては行って、帰ってきては行っての繰り返し!
ようやく事態が収拾したのは21時ぐらい。注文がやっと減ってきて、店長が帰ってきて、なんとかいつも通りの時間でピザが持っていけるくらいまで回復した。それでも、事故ったベテランの人間は病院に行ってしまったので人間は居ないまま。忙しかったから中の仕事の掃除であるとか、カートンであるとかはとにかく何もやってない。11−21時の予定だったが、22時まで走ることに。
なんとか22時までで忙しさは消えて、なんとか帰ることが出来た。本来の店長もいないし、ステキな営業になるはずだった土曜日の今日は、なにやら呪われた営業になった。そういえば事故った車両は俺が7月に信号無視でトラックに突っ込まれた車両と同じ車両。キッツイ仕事だった・・・。きっかけは本当に一瞬だった。ワンアクションの事故からあっという間に店はパニック状態になったのだ。
体の芯から疲れた今日の営業だったが、一番疲れたのは精神的な面だった。たった一瞬で営業は変貌するという店の鉄則を地で行った今日の営業。マジで疲れた〜・・・。