魔の踏み切り



朝、一つだけ踏み切りを通る。目白と池袋を分断する、西部池袋線だ。
朝、8時半には家を出る。会社に着くのは8時45分、デスクに着くのが48分だ。12分の余裕があるわけだ。だがしかし、35分に家を出ると、デスクに着くのは59分。超ギリギリだ。たった5分しか違わないのに、おもくそ遅刻しかける。
原因は踏み切り。30分に家でて、35分ころに踏み切りに着く。その頃はまだ電車がそんな矢継ぎ早に来るわけじゃないらしくて、結構1分くらい待てばすぐ開くのね。ところが35分に家を出て、40分に踏み切りに着くと、たいてい踏み切りの回りに超、人が集まってて、電車が通過しても通過しても空かない踏み切りに朝の忙しい時間を流されてイライラしている。
俺みたいな時間軸を超越した人間は「おーおー愚民が電車の通過待っちゃって。もうちょいゆっくり生きろよ」と傍観していられるが、当の愚民たちは我慢できなくて遮断機を手で上げて通過しまくってて見ていて危なすぎる。
それを見るのが嫌で早めに会社来て、ゆっくり階段上って8階で朝のコーヒータイムを楽しむ俺は聖人君子。しかしたまにちょっと遅れて踏み切りで待ってると、踏み切りの向かい側で遮断機があがらなくてそわそわしてるおっさんや、手で上げて揚々と渡ってくるおばちゃんが毎回同じ人間であることに気づいた。早く起きれば、っていうか5分早くこの踏切の前に立てば、マリオの残機0なのに1UPキノコを取らないプレイや、間違って空の面なのにカエルスーツを使ってしまったかのようなプレイスタイルからの脱却が出来るのだが、彼らはそれがクッパを倒してピーチとねんごろになるための最短の道だと思ってるのかもしれない。笛を2回吹いたぜ的なある意味ライフスタイルなのかも。むしろ笛は宝くじか?