雨うぜー



昨日の横浜戦観戦の際にも霧雨がバリ降っていたが、今日は完璧雨。ザーザーいってる中での仕事開始。屋根付きがあるとはいえ我々配達の仕事の人間にとっては雨は大敵中の大敵。
「あ、雨だ、店屋物でも取ろうか」的な会話が至る所で行なわれて、いつもの2倍の忙しさで店内はあわただしくなってくる。その忙しさの中、視界は悪い、道は滑るからとばせない、新人指導にも気をつかわなければいけない。


今日はその新人指導でのお話。
何とか新人も一人で走れるようになってきて1週間がたった。ここまでくれば後は自然と仕事を覚えてくるようになって、極端な話配達をなめるようになる。分かりやすく言うと配達の仕事を甘く見るって事。
「なーんだ、配達って簡単じゃん。道覚えれば問題ないじゃん」
と勘違いしてくる。そんな中新人を襲うのは今日みたいな突然の大雨だったり、突然客がキレたり、店長にちょっとしたミスで今まで何も言われなかったことで叱られるなどのハプニングである。大抵の新人はこれで辞める。だから雨の日は気をつかうし、ミスをした時にも「今回はいいよ。でも次やったらダメだぜ」という感じでの指導でベテランの俺たちは新人を教えていた。今めんどくさくても後で俺が楽をするためにはこういう風に気を使っていかなくてはいけないんだぜ。
で、今日の教えた新人は雨をそんなに嫌がってないようだし、目立ったミスもないので結構楽観視してる。出来る奴には長続きして欲しい。だから配達の次なる世界の扉をちょっと教えてやることにした。
3件伝票があって、新人が近くの2件を行くか遠くの1件で行くか「どっちがいい?」と聞いたら「遠くの1件がいいですね」と言っていた。そこで俺らベテラン2人と新人の会話。


「お前珍しいな。近くのほうが良くない?」
「いやぁ、遠くのほうが道を覚えられるんでいいかなと」
「偉いね。俺も遠くのほうがいいよ。ジュースも遠くに配達したほうが美味いし」
「ジュース?どういうことですか?」
「わかってないなー。近くで飲んだほうがスリルあって美味いだろ」
「いやいやいや、山の上でネオンを見ながらのコーヒーは格別だよ」
「まぁそうだね。でも近くだったら到着速いから喉乾いたときすぐ飲めるじゃん」
「坂田さんたち配達した後ジュース飲んでるんですか?」
「お前にはまだそのテクニックは早い。もう少し修行を積んでからだな」
「そうそう。川の近くとか車通らないところの自販機チェックとかはまだ覚える必要はないよ」


俺ら配達員は配達の怖さを知っている。いろんなハプニングを体験してきた。でも辞めないのはやっぱり配達ならではのそういう裏のテクニックがおいしいからなんだね。仕事中にタバコが吸えたり、ジュースを綺麗な夜景を見ながら飲めたり、それはもう格別の時。そうじゃなきゃやってらんねーもん実際。だから見込みのある新人にはこういう「配達のおいしさ」も教えて大きく育てていく必要があるのさ。

いやーやっぱり雨の中の山の上で飲むホットコーヒーは最高だよね。