マレーナ



うちの近くのレンタルビデオ店は、よくサービスデーに中国人が出入りしているらしいです。ま、僕なんすけどね。というわけで今日は「ニュー・シネマ・パラダイス」とか「海の上のピアニスト」の監督、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品、「マレーナ」を観ました。この監督の作品は好き。海の上のピアニストも泣いたし、ニューシネマパラダイスも良かった。それで選んだんですが、観終わった後涙は一滴もたれてきませんでした。でも、非常になんか本能的なものを揺さぶられた感が否めません。なんでなんでしょ?
言っていいですか?言っちゃうよ?
それはですね、ジェラシーなんですよ!
今まで観た映画に、ジェラシー部門があったならば間違いなくトップです。ジェラシーです。嫉妬です。いや、女の嫉妬は怖いね。とりあえず相変わらずのネタバレっぷりなので映画を観たい人はディスプレイを破壊するなり、こんなページを見るのをやめて酒でも飲んでいたほうがいいかも分かりません。
ストーリーは、

第2次大戦中のシチリア島。12歳の少年レナートは年上の女性、マレーナに恋をする。戦争未亡人の彼女には次々と悲劇が襲いかかる。無力ながらも少年は、マレーナを必死で守ろうとするが・・・

って感じです。
この映画の見所は何回でも言いますが嫉妬です。美しいマレーナが町を歩くたびに町中の人間が身を乗り出します。どんだけ美人なんだよ!芸能人を町に放してもこんなにまで注目を集めないぞっていうくらい皆で見ます。男性陣は「いいケツしてる」とか言うわけですから当然女性方は面白くない。「あの女、いろんな男と寝てるらしいわよ」「売女のくせに」とか女性陣は1メートル後ろでも非難を浴びせているのが凄かったね。聞こえるって!
もうマレーナのほうはたまったもんじゃない。この人、戦争始まって2週間で夫が死亡、未亡人になるわけですがその瞬間から「男はとっかえひっかえらしいわよ」と噂されまくりです。で、兵士に恋をしてその兵士がマレーナの家から出てきた瞬間マレーナのことが好きな歯医者が兵士とケンカして裁判までするんですから平和です。爆撃機来てるのに。しかもその後その裁判のマレーナを弁護した弁護人がマレーナを犯してしまいます。どんだけ魅力的なんですか?で、その後「誰とでも寝る」という噂のせいで父親は退職させられ、当のマレーナは勘当。で、メシ食えないから調達屋と今度はねんごろになり、ナチが来たらナチと寝るようになって、でアメリカに負けた瞬間女性陣の怒りが爆発。リンチに遭います。町のど真ん中で髪を切られて、上半身裸にされ、これこそ裁判沙汰じゃないか?で、戦死したと思った夫が帰ってくるも、片方の手を失った状態で・・・と不幸の頂点を極めます。
おいらも田舎町に住んでいたので、なんか変なことをしたら町中の噂になるという田舎特有のあれは知ってますが、ここまで来ると壮絶を超えてます。リンチとかはあれだけど映画としては面白いです。マレーナが美しいってだけなのにねぇ。
あと、主人公の少年がマレーナのパンツをパクってそれがオヤジに見つかり、「恥知らず!色ボケ!フェチ!サド=マゾ!淫乱!ヘンタイ!」と怒るシーンは爆笑してしまいました。そのあと悪魔祓いまでやってもらってたのはもっと面白かったけど。
これでも分かるとおり、主人公の少年はただのスケベ少年です。てっきり純愛ものかなぁとか思ったら、派手にストーカーしてるしマレーナの部屋を覗いてるし、12歳のくせに売春宿に行って「初めて?」と聞かれて「想像で何回もやったよ」と誇らしげに語るあたり、純愛もクソも無いです。バカです。
結局マレーナがリンチされて島を出た後、夫が連れ戻して帰ってきて、女たちは「太ったわね」「目の後ろにシワがあるわ」と前のように美しくないマレーナに対して嫉妬を感じなくなり、リンチまでしたのにただで商品をあげています。やっぱ美しさに嫉妬してたんですな。
マレーナは幸せになってないし、そこがハリウッド映画と違うところです。誰も幸せになってない。ただ色狂いの少年がずっと女性をストーキングして、その女性の顛末を知ることになるだけです。
それでもなんか人間の汚い部分をこれでもか、これでもかと見せてくれる映画です。お勧めはしませんが、観てみたい方は是非。面白いです。